天体用CMOSカメラとは?選び方やメリット・デメリットも紹介します!
天体写真は一眼レフカメラでも十分綺麗に撮れます。
しかし、宇宙はものすごく広いため、小さい星雲・銀河や惑星を撮ろうと思うと、一眼レフカメラではセンサーサイズが大きすぎて天体が小さく写ってしまい、なにかよく分からないことがあります。
もちろん、望遠鏡のサイズを大きくすればその分大きく写りますが…お財布にも優しくありません。
そこで注目したいのが、天体用CMOSカメラです!!
CMOSカメラはセンサーサイズがかなり小さいものが数万円から手に入り、小さくて分かりにくい星雲・惑星も大きく写すことができます。
今回は天体写真の可能性を広げてくれる、CMOSカメラについてご紹介します!
天体用CMOSカメラとは?
CMOSカメラとは、写真を写すためのイメージセンサーにComplementary Metal Oxide Semiconductor = 相補性金属酸化膜半導体を使用しているカメラのことです。
そんな意味の分からない話はここまでにして、簡単に言うと今の一眼レフによく使われているセンサーです。
NikonのZシリーズも、CanonのMシリーズも、SONYのα7シリーズもCMOSセンサーが使われています。
じゃあ、全部CMOSカメラじゃん。と思った方、
その通りです!笑
全部CMOSカメラですが、天体用に特化したCMOSカメラがあるんです。
それが、こんなやつです。
これがカメラの本体で、一眼レフと同じようにレンズに接続して使います。
望遠鏡に接続する場合、アイピースをつけているところに直接付けられます。
一眼レフカメラと比べてとても小さいです。
重さも軽く、Nikon Z6本体が675gに対し、ASI678MCは126gしかありません。
余計な機能が何もなく、ただ写すことに特化しています。
そのため、天体用CMOSカメラで撮影する場合はコードを取り付けてPCのUSBポートに接続し、PCから操作をして撮影します。
天体用CMOSカメラのメリット
両方のカメラを使ってみた私が、天体用CMOSカメラのメリットを紹介します。
メリット
- 高倍率で星雲・銀河の解像度の高い写真が撮れる
- PCで確認しながら撮れるので、見やすい
- アイピース部に付けれるため、アダプターが必要ない
高倍率で星雲・銀河の解像度の高い写真が撮れる
天体用CMOSカメラを買った時の1番の感動は、「めっちゃ綺麗に撮れる!!!」でした。
フルサイズ一眼レフと購入したASI678MCのセンサーサイズの大きさはこんなに違います(実寸でなく比で表しています)。
センサーが小さい分、写る範囲も狭いのですがその代わり大きく写すことができます。
単純に倍率が大きくなると思ってください。
小さい星雲・銀河が大きく写るので、淡い部分までしっかりと表現できます。
PCで確認しながら撮れるので、見やすい
天体用CMOSカメラでは、PCで画像を確認しながら撮影します。
一眼レフカメラの小さい画面より圧倒的に見やすいです。
また、一眼レフを望遠鏡に取り付けると、角度によっては画面がすごく見づらかったので、PCで遠隔で見れるのは便利でした。
みんなと一緒に見れるため、星空案内などにも使えます。
アイピース部に付けれるため、アダプターが必要ない
一眼レフを取り付ける場合、望遠鏡と繋ぐTリングなどのアダプターが必要です。
NikonのZマウントやSONYのEマウントなど、メーカーによって別のTリングを買わないといけないが面倒でした。
天体用CMOSカメラだとアイピースと同じ規格の付属品が付いているので、追加で購入する必要がありません。
PCからの電源で動くので、バッテリーも要らず、撮影データもPCに入れれます。
天体用CMOSカメラのデメリット
良い面がある一方で、「あ、だるいな」と感じたデメリットについても紹介します。
デメリット
- PCの電源を確保しないといけない
- コードが導入の邪魔になる
PCの電源を確保しないといけない
天体用CMOSカメラはPCと接続して行うので、PCの充電=カメラの使用可能時間です。
バッテリー容量が少ないPCだとすぐに使えなくなるため、このような外部電源を確保しないといけません。
できるだけバッテリーの持ちが良いPCを使うと良いでしょう。
中古整備品のレッツノートが安価かつ軽量で充電も5時間程度持ったので、オススメです!
コードが導入の邪魔になる
天体用CMOSカメラとPCを繋ぐコードが邪魔に感じることがありました。
赤道儀で望遠鏡を自動導入する時に回転する場所によってはコードを引っ張ってしまい、パソコンが持っていかれました笑
天体を導入する度にコードを気遣わないといけないのが少し面倒です。
天体用CMOSカメラの選び方
天体用CMOSカメラを導入するにあたり、僕が選んだ方法を紹介します!
天体用CMOSカメラの選び方
- 持っているレンズと撮りたい被写体から選ぶ
- 天体撮影に対する本気度で選ぶ
持っているレンズと撮りたい被写体から選ぶ
被写体までの倍率は、
レンズ焦点距離とイメージセンサーの大きさ
で決まります。
例えば、オリオン大星雲を画面いっぱいに写そうと思うと、フルサイズ換算で焦点距離1000mm程度のレンズが必要になります。
つまり、
フルサイズだと1000mmの望遠鏡(Kenko NEW Sky Explorer SE200N CRなど)
APS-Cだと625mmの望遠鏡(Vixen SD81SIIなど)
を合わせればオリオン大星雲が画面に大きく写せます。
このように、撮りたい被写体がバッチリ撮れるカメラを選びましょう!
ちなみに、僕の場合はメシエ天体を撮りたかったので、大体カバーできる3000mmを目標としました。
レンズはSD81S(625mm)を使っているため、フルサイズ換算3000mmとなると約5倍小さいセンサーを持つカメラを選ぶとちょうど良く拡大できます。
そこで、ZWOのASI678MC(約5.1倍)にしました。
天体撮影に対する本気度で選ぶ
天体用CMOSカメラもピンキリで、センサーサイズが小さく安いものは数万円からありますが、フルサイズだと50万円を超えるものもあります。
やっぱり、小さい望遠鏡に小さいセンサーで倍率を出すよりも、大口径の望遠鏡にでっかいセンサーのカメラを付ける方が写真撮影には適しているので、どれだけ本気で天体撮影をしたいかで選ぶのもアリだと思います。
結局、続けるなら最初から良いものを買った方がお得なので!
また、CMOSカメラには非冷却タイプと冷却タイプがあり、冷却タイプの方がノイズを減らせて綺麗に撮れます。
もちろん冷却できる方がお高いです。
そんな機能の面でも写真のクオリティが変わるため、選び方の1つのポイントになります。
天体用CMOSカメラで表現の幅を広げよう!
天体用CMOSカメラを使うと、これまで一眼レフでは撮れなかった写真が撮れるようになります。
天文の趣味は一生続けても飽きない楽しさと奥深さがあるので、ぜひ導入を検討してみてください!