【作例あり】ポータブル赤道儀をお手軽に!ナノトラッカーの実力を検証してレビュー【New nano.tracker】
星の撮影にも慣れてきて、ワンランク上の写真を撮りたいと考えたとき、ポータブル赤道儀の導入を考える方が多いのではないでしょうか。
ですがポータブル赤道儀を使って星を撮ると言えば、撮る前の準備や設定が大変そうだったり、機材が重くて持ち運びが大変そうだったりと、少しハードルが高いように感じますよね。
そこで今回は、ポータブル赤道儀の中でも1,2を争うほどコンパクトで、三脚に取り付けるだけで複雑な設定も必要ない、とても手軽なナノトラッカーというポータブル赤道儀を実際に使ってレビューしていきたいと思います。
ちなみにポータブル赤道儀の選び方についてはこちらの記事でご紹介していますので、比較して検討したい場合はこちらをご覧ください。
ナノトラッカーとは
ナノトラッカーは2015年にサイトロンジャパンから発売されたポータブル赤道儀で、正式名称はNew nano.trackerと言います。
ポータブル赤道儀は様々なメーカーから出ていますが、ナノトラッカーの一番の特徴は、何と言ってもその小ささにあります。
手のひらに十分収まるほどのサイズ感で重さも400gしかないので、カメラバックに入れてもあまりスペースを取ることもありません。
欠点をあげるとすれば、搭載可能重量が2㎏までなので重たい望遠レンズを付けての撮影には向かないことと、本体に空いている小さな穴で極軸合わせ(北極星に向きと角度を合わせる作業)を行うので、正確に合わせにくいということです。
アングルプレートでお手軽極軸合わせ
極軸合わせがしにくいという欠点を克服するため、同じくサイトロンジャパンからアングルプレートという機材が発売されています。
北極星がある角度(約35度)になっており、プレートにコンパスも付いているので、ナノトラッカーを付けた状態でコンパスを確認し、北に向けるだけで北極星に合わせることが出来るのです!
もちろん極軸望遠鏡がついているような赤道儀を使ってきっちり合わせるよりは精度が落ちますが、広めの画角で撮影するのであれば十分な性能を発揮することが出来ます。
ナノトラッカーの実力
とてもコンパクトで、アングルプレートを使えば極軸合わせも楽々なナノトラッカーですが、やはり気になるのはその実力ですよね。
いくら使いやすくても、性能が悪ければ意味がありません。
20mmで撮影した場合
まずは20mmという広角レンズで、1分間露光した写真を比較してみます。
ご覧いただいた通り、正直広角レンズであれば、1分ほどの露光時間ではあまり違いは感じないかもしれません。
しかし一番流れてしまう端の方をズームで比較してみるとどうでしょうか。
ナノトラッカーがない場合は星が線になり始めていますが、ナノトラッカーを付けた場合はきれいな点になっていることが分かりますでしょうか?
60秒というシャッタースピードで星を撮影すれば、20mmの広角レンズであっても若干ぼやけた印象になってしまいました。
そしてレンズを望遠寄りにすればするほど、この差は大きくなってしまうのです。
50㎜で撮影した場合
続いて50㎜という標準レンズで、同じく1分間露光した写真を比較してみましょう。
20mmの写真とは違い、ズームしなくても明らかに違いが出ています。
ナノトラッカーを付けていない写真はぼやけすぎて、違和感を覚えてしまいますよね。
この比較を見ていただけると、ナノトラッカーは手軽でコンパクトではありつつも、十分に赤道儀としての実力を持っていると言えるのではないでしょうか。
まとめ
ナノトラッカーの特徴が「コンパクト」「手軽」であり、そのうえで十分な実力を備えていることがご理解いただけたかと思います。
ただし、もっと望遠のレンズで、精度を高めて撮影したいのであれば、他のポータブル赤道儀の方が合っているかもしれません。
慣れてしまえば撮影の準備に1分もかからないような手軽さが魅力だと私は思っていますので、同じように手軽さに魅力を感じるのであれば、本当におすすめできるポータブル赤道儀です。
星空撮影をワンランク上げる為に、是非検討してみてはいかがでしょうか。